3年ほど前に、アマダ社OBの機械商社様より『Vカットマシンをユーザー様に購入いただくことになったが、メンテナンスが出来ないので、メンテナンスに関しては御社に任せるのでよろしく』と頼まれた案件があり、当時はどこに納入されたのかも知らされていませんでしたが、この機体を購入された四国のユーザー様から連絡を頂戴しました。
この機体を購入以降、あまり使用していなかったが本格的に運用を開始したいので不具合個所を修理して欲しいとご依頼いただきました。
まずは、実機不具合確認のご依頼を頂戴しましたので、ユーザー様工場へ伺い実機の現状確認を実施に四国へ。(2024年12月実施)
お邪魔するといきなり『1週間前から急に動かない』との事。。。


Vカットで、ストップランプが点いて急に『動かない』の場合は、その多くが緊急停止ボタンであるラバノンスイッチの不良に起因するので
ダイアグで確認するとやはりラバノンスイッチの不良でした。
左画像のフロントカバーの前に垂れ下がっているのがラバノンスイッチです。四隅はビス固定ですが、中間は両面テープで止めているだけなので貼り付けから長期間経過するとテープが沸いてこのように。。。
弊社に修理で搬入されるVカットはほとんどこの状態になっています。
もしVカットを所有されていてこのようになっていればすぐにでも両面テープで貼り付けて、いざと言うときにストップ押し釦ができるように修繕されることをお勧めします。
ジャンパー線を作成して、電気BOX内でラバノンスイッチをジャンプ
これでとりあえずは動作確認が可能になります。


まずはVカットご担当者様から修理要望個所をヒアリング。
購入時よりクランプ前のテーブル部分に摩耗があり、V溝が綺麗に入らないとの事。苦肉の策でパテで埋めて表面を慣らして使用しているが
V溝の深さが均一にならないとの事。
数か所でパテ修正されていますが、どの個所もパテ中央で0.03ほど摩耗状態。
テーブルにはバイト傷や錆による浸食摩耗もあり、全幅を計測すると一番高いところを0として0~ー0.17と0.17も高さ不良になっています。
各軸移動させるため手動パルスハンドルを操作するとハンドル回転通りに動かない不具合を確認。BOX正面に衝突痕あり。
何らかの衝突によるパルスハンドル不良と思われます。
バイトヘッドからの切削油の滴下も不良との事。
滴下量調整つまみを回しても良好にはならず。
機械後部のリッターポンプを確認するとすでに朽ちた状態に。。。
リッターポンプ不良とバイトヘッドの目詰まりが原因であることをお伝え。


V溝を入れると2度3度と高さが変わる食らい込みのようになるとの事。
テーブル高さの不良だけだとV溝に深いところ、浅いところができるだけですが、2度3度と食らい込みが発生する場合は、Z軸、X軸のLMガイドもしくはBS(ボールねじ)の摩耗によるバイトの不安定が原因であることがほとんどです。
Z軸のLMガイド、BSのガタを測定。経年劣化による0.01程度のロストやガタがあるもののまだ良好な部類。ブレーキの利きも良好。
X軸のLMガイドのガタ測定も良好。
X軸のBSを測定するためダイアルをセット。
X軸のBSは1方向に動くだけなので、Vカットマシンでは、パンチングマシンほどロストモーションに過敏ではありませんが、ガタ測定では1.46と非常に大きなガタが発生していることが判明。
X-BSの交換が必要です。
X-LMガイドのガタは経年劣化は見られるものの0.03程度なので、まずはX-BSの交換をお勧め。


実機確認を経て下記の修理をご提案
1. 原因不明のストップ・・・ラバノンスイッチの交換
2. 右サポーター動作不良・・・エア配管継手類の交換
3. バイトヘッドを付けていない状態で稼働できる・・・近接類の交換
4. 切削油滴下不良・・・手差しで対応できるとの事で交換不要
5. V溝のビビり食らい込み・・・X-BS交換
6. テーブル不良・・・テーブル引き直し機械加工
7. 手動パルスハンドル動作不良・・・衝突痕があるので部品交換
上記の修理+αの修理ご希望を頂戴し、部品手配を開始。
おかしいなと感じたら早めの修理を。
最近では様々な部品の入手に時間が掛かり、機械が停止して修理まで2~3月以上かかるケースも増加中です。
年々部品価格も上昇傾向にあり早めの修理をお勧めします。
弊社ではこのように生産終了機や整備終了機でも出来る限り修理対応に努めています。
㈱大阪プレスサービスでは、アマダ製板金機械の整備機販売、修理、オーバーホール、機械買取などを行っています。
まずはご相談ください。