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RG-80:左右の曲げ不良修理御依頼

 

 

 昨年、AUTO-B/Gの曲げ寸法不良で修理依頼を頂戴したユーザー様から

左右で曲げ角度が違うとの事でご相談を頂戴しました。

 

どこか数か所だけなら中間板の突き出し量で修正が可能であることをお伝えしましたが、右に行くほど甘くなるとの事。

 

ピンポイントで曲げが甘い場合は中間板の突き出し量による不良か、上部テーブルの座屈などが原因ですが、片側の端に行くほど甘くなる場合は上下テーブル平行度の不良が考えられるので、上下テーブルの左右差を測定いただくと0.5mm差があるとの事。

 

上下テーブルの平行度調整をご提案し、修理依頼を頂戴しました。

 


作業前の実機確認を実施。

 

上下金型、ダイホルダー、中間板などを外して加工面を清掃し整地。

平行度調整ジグとダイアルを用いて測定。

 

上昇時ジグ位置で左基準0に対して右はー0.12

下部テーブル右側が0.12下がっている状態を確認

 


 

下降時ジグ位置で左基準0に対して右は0.09

 

下部テーブル右側が0.09上がっている状態を確認。 上昇時ジグ位置とは逆傾斜。

 

テーブル昇降時に水平を保てていない状況である事を確認

 

ユーザー様にもご確認いただきました。


 

平行度不良に様々な原因があるため、各部を事前確認

 

シリンダー昇降状態、左右ガイドローラー、前後ガイドローラーは良好に稼働、前後ガイドローラーのスタッドに緩みや折損も無く良好。

 

左右ガイドローラーが接地するメインシリンダーおよびポストの加工面にも若干の経年劣化摩耗があるものの座屈や偏摩耗は無し。

 

メインシリンダー、サブシリンダーの昇降および吊りボルト等も良好

 

各部良好であることから、経年劣化もしくは、金型や材料のクラッシュ(咬ませ)、左右片側偏荷重での使用による平行不良と推定されます。


 

 

左右ガイドローラーおよび平行調整コマのテンションを解き、平行度調整ジグを用いて上下テーブル間平行度調整を実施。

 

 

調整とジグ位置での測定確認を数度繰り返すことで良化するところ、この機体では一定数値までは良化するものの水平になりきらず??

 

過去には数十台程度ですが、メインシリンダーやポストの調整コマ部分が破断した機体整備経験もあることから、メインシリンダーとポストのこの部位を確認。

破断やクラックも無さそうで、良好の様子。

 

※破断の場合はメインシリンダーやポストの交換が必要となります。


 

もしやと思い、機械フレーム側の張りゴマや支え板の張りゴマを確認するとかなりの緩みがありました。

 

新品製造時やOH時はメインシリンダーやポストに水準器を取り付けて本体フレームとの水平を確認しながら最初に締付ける箇所なので、現地では増し締めしか出来ません。


 

各部を適正に増し締め後はすんなりと平行度調整が実施出来ました。

 

上昇時ジグ位置で左基準0に対して右も0

0-0で水平に調整完了


 

下降時ジグ位置で左基準0に対して右はー0.015

0--0.015と下部位置でもアマダ社新品機組付け基準値内に収まり、水平を保ちながら昇降するように調整完了。

 

各部を手順に従いロックし、再測定で同数値

 

平行度調整完了


 

 

 

平行度とは別になりますが、中間板を見るとクサビの位置がメチャクチャで突き出し量が狂っている事を確認。

 

せっかく平行度が調整できたのにこれでは曲げがきつい個所、甘い個所が生まれてしまいます。

 

全中間板を外して、上部テーブルおよび中間板を清掃し整地。

 


 

 

専用の中間板加圧台を用いて、中間板の全箇所を適正に取り付けてから中間板カーブを組立手順書に従い調整。

 

ダイホルダー、上下金型を取り付けてユーザー様に曲げ確認を実施していただき、『中古で購入依頼初めてこんなに均等に曲がった』との事で修理完了。

 

平行度が狂っている上に、中間板の突き出し量もメチャクチャだったので良化の度合いが大きかったと思われます。

 

 

作業完了

御依頼ありがとうございました。

 


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