ベンディング―ルHC1-2508A(4本ロール)で左昇降ネジ部で大きな音が発生し、その後トップロールの昇降が出来なくなったとの事で修理ご相談を頂戴しました。
幸いこのユーザー様では部品取り用にHC1-2010Aを保管されており、この機体は昇降可能で昇降ネジ移植作業の御依頼を頂戴しました。
HC1-2508Aを実機確認したところ、左昇降ネジが稼働せず、右側に比べて左側が落ちた状態になっています。
左昇降ネジに何らかの不具合が発生していることは間違いなさそうです。
まずは部品取り機のHC1-2010Aの解体から開始。
すでにギヤBOX-ASSY他が取り外されており稼働状況にないため、専用ハンドル等を用いて解体準備。
操作盤との油圧関係配管類を外して、操作盤自体を撤去。
キャッチシリンダー側の配管類も縁を切りキャッチを取り外し。
右昇降ネジの堀外しに掛かります。
右昇降ネジの取り外し完了
年季が入った機種なのでいつもの通りゴミ除けは破損して意味をなしていない状況。
このゴミ除けも7年ほど前から入手不可です。
ワンオフ作成は可能ですが非常に高額です。
トップロール、油圧タンクなどを取り外して左昇降ネジを解体
左昇降ネジも同じくゴミ除けは破損状態
部品取り完了
修理するHC1-2508Aの解体を開始
操作盤との油圧関係部の縁を切り、操作盤を一時分離。
ギヤBOX-ASSYを取り外し
油圧タンクとタンクベースを取り外し
キャッチシリンダー側の油圧配管等も縁を切り、キャッチを取り外し
油圧配管を解くと自重で開放するので危険な箇所です。
右昇降ネジを取り外し
10数年前に弊社でオーバーホールさせていただいた機体なので、ゴミ除けが正常に機能している様子
部品取り機HC1-2010AとHC1-2508Aの右昇降ネジを比較。
HC1-2010Aのネジは下部に摩耗が発生しており、台形ネジ部が丸くなり良好とはいえない状態でした。
HC1-2508Aのネジは台形ネジが残っており、ガタもかなり少ない状態
右昇降ネジは再利用する方向で部品確認
トップロールを取り外して、左昇降ネジの取り外し準備
左昇降ネジを取り外して解体したところ、ネジが乾いた状態で台形ネジ下部は少し丸みを帯び、この部分に薄いワッシャー様の鉄片が何重か嵌まっていることを確認。
給油配管が詰りグリス潤滑が行かなくなった状態でゴミ除けも破損しておりゴミや鉄粉が入ったまま稼働を続け、昇降ネジのメネジが焼き切れオネジに食らい込み左昇降ネジが落ちた状態で稼働しなくなったと推測できます。
稼働不可の原因が見つかり一安心です。
右昇降ネジを総バラシし洗浄清掃
どの部品も良好ですが、スラストには経年劣化が見られるため交換する事で右昇降ネジは再利用可能と判断。
2台のベンディングロール解体と復旧に使用する部品選定が完了
おかしいなと感じたら早めの修理を。
最近では様々な部品の入手に時間が掛かり、機械が停止して修理まで2~3月以上かかることも増加中です。
2023年度より部品価格も上昇傾向にあり早めの修理をお勧めします。
㈱大阪プレスサービスでは、アマダ製板金機械の整備機販売、修理、オーバーホール、機械買取などを行っています。
まずはご相談ください。