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パンチング:VIPROS 2AIオーバーホール

 

10数年ぶりにVIPROSでの2AI(2オートインデックス)オーバーホールのご依頼を頂戴しました。

 

事前に交換部品リストと共に部品を弊社工場に搬入いただきました。

今回は約250種類で総点数は630個超の部品交換工事になります。

 

まずはユーザー様での工事期間を短縮するため弊社工場内で部組みを実施します。

 

部品はアンチラス(防錆材)を塗布されたものが多く、開封して洗浄しアマダ組立基準精度に基づき部位ごとに組み上げていきます。

 

弊社には古い機種の治具関係も保管しているので80年代、90年代の名機もまだまだ整備・修理の対応が可能です。

 


 

 

 

機械商社様やアマダ社のサービスマンの方も交換しにくいと話される2AI(2オートインデックス)のガイドキーはこのようにガイドホルダーのスリットの間に位置し、さらにリテーナーが被さって組付けられているので、タレット上部から覗き込みながら交換するには構造上交換しにくい部品と言えます。

 

部組みの時は上下逆さまにして組むのでスムーズに交換が可能です。

 

この画像をイメージしながら指先で交換作業していただくと少しは、交換しやすいかも知れません。

 

 

 


 

 

 

 

2AI駆動部、中間駆動部(上下)、タレット内(上下)の各部位を3日間ほどで組み上げると台車1台分のユニットごとアッセンブリ部品になります。

 

弊社では中間駆動部ベースブラケット上下をローテーション用に保管しており、アッセンブリ部品を組んで持ち込むことでユーザー様工場での工事工期短縮に努めています。

※PEGA・VIPROS用、EM用の上下ローテーション用ベースあり。

 

 


 

 

 

 

 

中間駆動部上下アッセンブリユニット

もちろんパスラインシム、ベルトテンションその他の組立・精度調整は実機に組付け後に実施するため、仮組みの状態です。

 

 

 

 


 

 

 

 

COMA、PEGA、VIPROS、APELIO、ARIES、EMともに2AIオーバーホール工事ではこのような工事工具が必要となり、これらを車に積み込んでユーザー様工場に伺い交換工事作業を実施しています。

 

今回はタレット交換が無い分、コンパクトです。

タレットおよびタレットベアリング交換の場合はこの倍程度の工具が必要となります。

 

 

 


 

 

 

工事日程が決まるとユーザー様に伺い、交換工事開始。

 

まずはタレット回りのカバーやテーブルを取り外してタレットを

むき出しにしダイホルダーや2AIを取り外す準備をします。

 

タレットや2AI交換工事の際には、事前に上下金型の撤去をお願いしてご協力いただいています。

 

 


 

 

 

 

 

ダイホルダーを取り外し、2AI(2オートインデックス)を解体。

 

解体が完了すると抜きカスや長年の汚れを洗浄清掃していきます。

 

 

 


 

今回の2AIフルオーバーホールとなった原因は、中間駆動側下部駆動ポイント軸とタレット側下部従動ポイント軸の干渉(衝突)による中間駆動下部ポイント軸の折損とタレット側従動ポイント軸の変形です。

 

中間駆動側下部駆動ポイント軸はアマダ社サービスマンの方が応急修理のため切り落としてくれていました。

 

COMA、PEGA、VIPROS、APELIOともに上部ブレーキはピンタイプのため上部従動ポイント軸はずれる事がほとんどありませんが、下部ブレーキはクランプ構造のため抜きカスや摩耗による経年劣化により下部従動ポイント軸はクランプ力が弱まりズレが生じます。

ズレた状態でタレットが回転すると干渉(衝突)の原因となります。

 

※ZタレットやEMは構造が違うのでこの現象は生じません。

 


 

 

 

 

 

タレットや各部の洗浄清掃が完了したら、タレットボア径内も修正・調整を実施。ダイホルダー芯出しが良好になります。

 

組付準備完了後、部組みし持ち込んだ新品部品に交換していきます。

 

アマダ社組付け基準精度に基づき1点ずつ丁寧に組付けます。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

まずはタレット内上下2AI部から組付けます。

 

精度基準値内でもさらに0を目指して組付ける事で打ち抜き時の総合精度が良好になります。

 

 

 

 


 

タレット部、駆動部、中間駆動部それぞれの組付けが完了したら、連結時の精度調整を実施し、固定ピンの穴あけ作業を実施。

 

EMはピン打ちがほとんど不要になっています。

この点、COMA、PEGA、VIPROSは一手間必要です。

 

ピン打ちにより各部部品の位置が決定したら、慣らし運転を実施。

20分程度の連続運転を含む慣らし後に20角ジグで360度芯確認。

 

熱持ちや不具合等の問題が無ければ、ダイホルダーを取付け、打ち抜き精度調整を実施。

 

ユーザー様による製品加工テストを実施いただき修理完了。

 

タレット回りのカバーを取付て工事完了


おかしいなと感じたら早めの修理を。

最近では様々な部品の入手に時間が掛かり、機械が停止して修理まで2~3月以上かかることもあります。

2023年度より部品価格も上昇傾向にあり早めの修理がお勧めです。

 

㈱大阪プレスサービスでは、アマダ製板金機械の整備機販売、修理、オーバーホール、機械買取などを行っています。

まずはご相談ください。