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ベンダー:SPH-30C 自重落下

 

 

1978年製のSPH-30Cで自重落下が酷く作業に困るとの事で修理依頼を頂戴しました。

 

SPHはアマダ社のベンダーに分類される万能ベンダーと呼ばれる機種で取り付ける金型やボルスターによっては、曲げ、打ち抜き、パンチが可能な万能機で人気がありますが生産終了してから年月が経ち、最近では不具合でのお問い合わせが増加しています。

 

このユーザー様では薄板のR曲げ用パンチ(木槌替わり)にご使用

 

ショートスパンでの繰り返しパンチでご使用のため機械には上昇下降の連続動作による負荷が掛かります。

 


 

 

 

実機確認では急速な自重落下を目視確認

シリンダーからは油漏れも発生し金型がびっしょり濡れていました。

昇降動作ではリレーも若干火花が発生

 

使用開始後30分ほどで連動が効かなくなるとの事でしたが、確認時は最初から連動動作しない状態でした。

 

自重落下の要因は色々な箇所が考えられることをご説明のうえ、まずは部品代が安価なシリンダー消耗品交換から開始をご提案。

 

 


 

 

 

 

シリンダー消耗品が入荷したので、消耗品交換工事を開始

 

所定の位置でラムを固定し、作動油を抜き取りシリンダーを解体

 

作動油を抜いてみると少々長い期間、油交換が実施されていない様子で変色し匂いがきつくなった作動油タンクの底には鉄粉や塵、ゴミが

溜まっていました。

クリーナーで清掃を実施。

 

 

 


 

 

 

ハンドルとの連結を解除

 

45年経過する割にはボルトにゴミが付着して埋没する事もなく比較的綺麗な状況。

機械商社様を経て何件かのユーザー様を渡り歩いた機体の模様

 

ボルトに素直にレンチが入るだけありがたい状況です。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

測長か所を各部図りメモを取りながら解体

 

組付けの時に助かります。

 

 

 

 


 

 

 

 

解体前、ピストンに縦の摺動傷が薄っすらついており油漏れを気にして解体しましたが、ピストンより若干深い傷がシリンダー側に付いているのを確認。

 

ピストンの傷はメッキ修正可能ですが、シリンダー側は交換する以外に打つ手がないので新たに交換する消耗品で油漏れが止まるか心配です。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ピストン側は縦傷も外観より軽症で爪が掛からない程度で良好

 

部品ごとに解体して洗浄・清掃し消耗品を交換していきます。

 

 

 

 

 

 


 

シリンダー側も専用バフで出来る限り傷を修正し洗浄・清掃

 

消耗品を交換しながら各部組付け

 

組付け完了後は作動油(新油)を入れて動作確認

 

2分間程度の放置後、自重落下を確認し良好

 

連動動作を修理し、加圧確認後にお引渡し

 

ユーザー様による試運転も良好のため作業終了

片付けの間に30分ほど放置でも自重落下無し

 

御依頼ありがとうございました。

 


 

㈱大阪プレスサービスでは、アマダ製板金機械の整備機販売、オーバーホール、中古機械の買取・販売、修理、整備などを行っています。

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